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瀬音とボクとよしみくん
第32章 麻里亜の仮面
「……え?」


急に後ろから抱きつかれる。


……誰っ?


「会いたかった」


後ろから抱きつかれたまま、動けない。


も、もしかして……


「……瀬音、くん?」


おそるおそる、後ろを、振り向くと。


そこには……


あぁ、やっぱり、瀬音くん。


本物の瀬音くんだ。


本当に瀬音くんに会えるなんて奇跡だよ。


嬉しすぎて、言葉がでない。


「来てくれて、ありがとう」


今度は正面から強く抱きしめられる。


でも、なんで?


言ってることはまったくわからない。


「……駆け落ちしよう」


「……え、かけ? なに?」


瀬音くんに会えただけでも嬉しくて、戸惑っていたのに、瀬音くんの言葉がさらに追い打ちをかけて、ボクを混乱させた。


今なんと?


駆け落ちって言った?


まさか、聞き間違いだよね?
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