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瀬音とボクとよしみくん
第34章 おまけ③ リクエスト
「大丈夫か? ザック……」


呆然と立ち尽くす、俺に別の男が寄ってきた。


「あ? 有貴?」


今度は、有貴が俺を心配して声をかけてくる。


有貴も、同じ軍服を着ている。


なんで、同じ服を?
何かの制服なのか?


「おら、急ぐぞ、ザック」


「ん? ザック?」


もしかして、それって俺の名前か?


「本当に大丈夫か? 車から降りたとたん倒れて、車酔いでもしたのか?」


「……くるま?」


確かに、かたわらに車らしきものがある。


「ほらっ、早くしないと、間に合わないだろっ」


峰岸と有貴に急かされて俺はどこかに向かう。


状況を把握しきれない。


「どこへいくんだ?」


「あっ? 何言ってるだ。婚姻調印式だろ? 本当に大丈夫か?」


「あ、あぁ、どうやら、ちょっと記憶があいまいなんだ。だから、わりぃ。状況を教えてくれ」


「あん? だから、いまから婚姻式に行くんだ。ジュティス様とマリア様の」


「ジュティス? マリア?」


「あ? ジュティス、様だろ。忘れたのか」


「そうだ、ジュティス様だった」


「たくっ、しっかりしろよ」


「わりぃ」


まったくわからない。


夢なのか?


そう思うのが当然のようなこの世界。


二人はどんどん歩いていく。


とりあえず、ついていくしかない。
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