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第5章 かけ離れた幸福

「最近旦那の仕事が忙しいから、それでよ。帰りは遅いし、休日出勤もあるし。でも、もうちょっとしたらー」

思わずぽろりと零してしまった夫婦生活の実態を、今更ながらに後悔する。

一旦口にした言葉は取り消せないので、緋音はなんとか火消しに走る。

「まあ、旦那がしてくれないなら、他の男とすればいいだけの話よ」

あっけらかんと言い放つ莢子に、緋音は頭が痛い。