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イケメンエリートの欠点
第7章 波乱の予感
「ご丁寧に朝の挨拶なんかしなくていいのに」

同じく駅へと向かうであろう隣人との距離をある程度確保してから、玲那はようやく緊張を解く。

八つ当たり気味に口を尖らせる玲那を、賢哉は大真面目に諭す。

「えー、挨拶は大事だよ。隣りに住んでるひとなら、尚更きちんとしないと」

「時と場合に寄るんだってば」

今度は玲那が窘める番だった。

一刻も早くその場から立ち去りたかったのに、いつだって彼は自分のペースを崩さない。

挨拶どころか、世間話を始め兼ねない夫を、強引に引き摺る他なかった。

せめてもの救いは、隣人は三十代半ばくらいの男性だった事。

これが特に若い女性だったりしたら、寧ろ向こうがなかなか離してくれないところだったかもしれない。
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