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乳房星(再リフォーム版)
第120章 傷だらけの人生
ところ変わって、アスタナ中心部のミラソヤン通りにあるカザフスタン本社のオフィスビルの中にある私の個室にて…

(ジー…パチパチパチ…)

私は、そろばんを使って帳簿のチェックをしていた。

午後3時過ぎに、仕事が一息ついたので、アスタナのシンボルタワー・バイテレクへ行った。

バイテレクは、1997年にアスタナがカザフスタンの新しい首都になった記念に完成した地上105メートルのシンボルタワーである。

タワーの形は、東京スカイツリーとよくにている。

展望台にいる私は、碁盤目状の中心部の風景を見つめていた。

街の中心部にイシム川が流れている…

中央公園が整備されている近代都市アスタナは、札幌や京都の風景とよく似ている。

私は、アスタナの中心部の風景をながめながら何を考えていたのか…

11月22日から28日までの間、アクトへ~アティウラ~ベイネク~クズルオルダ~トルキスタン~アクトガイと外回り営業をしていた。

11月29日に、カザフスタン本社の予定が終わった。

A班のメンバーたちは専用機に乗って、モンゴル・ウランバートルチンギスハーン国際空港へ向かった。

アスタナを出発してから30分後に、専用機はセメイの上空を飛行していた。

旧ソ連時代に核兵器の実験場だった跡地を専用機の窓から見た私は、1986年のチェルノブイリ事故を思い出した。

森林と化したプリピャチの街…

いつになれば、もと暮らしていた場所へ帰ることができるのか…

そう思えば思うほど、胸がひどく痛む。
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