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それでも僕は
第7章 7★




「あの子…南くんのことあんな楽しそうに話すから……」
遠い目をして救急治療室を見る佳代さんに俺は言葉を失う。佳代さんから彩木くんが俺をどう思っているか詳しく聞きたかったが上手く言葉が紡げない。
「……南くんに迷惑かもしれないけど、あの子のことこれからも支え続けてほしい」
佳代さんの切実過ぎる願いに俺はただ呆然としていた。




『snsの更新がないと思ってたらそんなことになっていたのか…』
彩木くんが目を覚ますまでそばにいたかった俺は優斗さんに連絡を入れた。いつの間にかsnsで連絡を取り合っていた彩木くんと優斗さん、俺の知らないところでふたりこそこそsnsをやっていたことが俺の琴線に触れた。
『…どうした?俺と慧くんがsnsやってるのがそんなに羨ましいか?』
「違いますよ」
優斗さんに図星を突かれ、俺は食い気味に優斗さんの言葉を否定した。くくく…と優斗さんは笑いを漏らす。
『優馬に子供らしさがないからついな…ところで』
「…なんですか?」
優斗さんからからかうような空気が消える。
『優馬…お前、彩木くんのことが好きなのか?』
「…………」
『……いや、話は分かった…あとで着替えを持って来てやるよ』
黙り込んだ俺に優斗さんはため息を吐いて電話を切った。





夜が耽るころには彩木くんは救急治療室から病室に戻れた。俺は学校を休んで彩木くんのそばに寄り添った。できれば彩木くんが目を覚ますまでそばにいたい。周囲の人も俺が学校休んでいることをとやかく言う人はいなかった。
「……彩木くん」
俺はイスに座り、彩木くんの手を握る。青白い彩木くんを見て早く良くなってくれと祈る。
『慧くんのことが好きなのか?』
優斗さんの言葉が脳裏に反芻する。俺は優斗さんに指摘されるまで自分の気持ちに気付いていなかった。
(……そういえば優斗さん、いつの間にか彩木くんのこと名前で呼んでなかった?)
今更、優斗さんが彩木くんのこと名前で呼んでいたことに気付いてモヤモヤしたものが込み上げて来る。
(……何やってんだよ、俺は)
ひとりで拗ねたり、悩んだり、落ち込んだりしている自分が滑稽に思えてきた。
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