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籠の中の天使
第9章 告白
「お?峯岸か…、どうした?怪我人か?」
南斗の声がする。
カーテンの隙間から見れば紺色の剣道着を着た峯岸君が居る。
午前授業とはいえ放課後の部活はある。
この部活のせいで南斗は夏休みであっても学校に出勤する。
部活に興味がない私は不貞腐れて南斗の帰りを待つ事になるから夏休みに部活をする学生が嫌いだと思っちゃう。
しばらくの沈黙…。
徐ろに峯岸君が息を吐き
「持田先生にお願いがあります。」
と畏まった言葉を言う。
「俺に?」
南斗が不思議そうに峯岸君を見る。
峯岸君は南斗から目を逸らして口篭る。
カウンセラーの北斗さんから学生の話を聞く時は絶対に急かすなと言われてる南斗は椅子に座り直して峯岸君の言葉を待つ。
深呼吸をする様な息遣いが保健室の中に漂う。
そして…。
「俺、相原 咲都子が好きです。出来れば付き合いたいと思ってます。」
峯岸君が爆弾発言をした。
は?
私からすれば、そんな感じ…。
流石に南斗も苦味を潰した様な表情でしか笑えてない。
「それは相原に言ってるのか?それとも俺に言ってるのか?」
興奮気味の峯岸君を宥める為に南斗が少し茶化して話す。
「咲都子が聞いてるのはわかってます。きっと咲都子からすれば俺はまだ友達ですら無くて、俺のこんな気持ちなんか怖いとしか受け取って貰えないってわかってます。」
「それで?」
「だから…、持田先生に教えて欲しいんです。咲都子と付き合う為に俺がすべき事や必要な事を…。俺は絶対に咲都子を怖がらせて傷付けたりはしないから…。」
血の気が引くような気がする。
峯岸君が?
何を言ってるのかわからない。
私を好き?
だって上地さんの気持ちは?
峯岸君だって、その気があったって岡村さんも言ってたのに…。
まさかの告白に戸惑う。