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籠の中の天使
第9章 告白
南斗は厳しい表情のまま峯岸君をじっと見る。
今の私は南斗の恋人にはなれないかもしれないけども、北斗さんの患者としてでも私が普通に学生の誰かと付き合うとか不可能な事だと南斗から断って欲しいと願ってしまう。
「そうだな…、峯岸と付き合いたいかどうかは相原が決める事だとは思ってる。但し、相原は峯岸が言うように人とは簡単に付き合ったり出来る子じゃない。」
南斗がやんわりと峯岸君を制す言葉にホッとする。
しかし…。
「それでも峯岸が相原の為に本気で頑張りたいと思うなら、少しづつ相原との距離を縮めてみろ。その上で相原に受け入れて貰える男になればいいと思う。学校としては余り異性交友を大っぴらに認めたりは出来ないが、保健医としては健全な思春期男子が誰かを好きになるのは当たり前だと思うし、ちゃんと自分を見失ったりしないようにセーブが出来るのなら無闇に反対はしないよ。」
私は人と付き合える子じゃないと言った同じ口で南斗は峯岸君へ私と付き合えるように頑張れと応援する。
目の前が真っ暗になり、私はカーテンの中で床にへたり込む。
「ありがとう…、持田先生。なあ、咲都子、俺、お前が好きだ。修学旅行の間、ずっと咲都子を守りたいって思ってた。今は無理かもしれないけど…、まずは友達から始めたいって思う。」
嬉しそうに私に語り掛ける峯岸君の声が私の右耳から入って左耳からすり抜ける。
悪夢だとしか思えない。
もうすぐ夏休み…。
私は南斗の部屋で幸せな時間だけを過ごす籠娘のはず…。
峯岸君とか他人とは関わりたくないの…。
これ以上は聞きたくないと耳を塞ごうとすれば
「持田先生、咲都子って携帯とか持ってますか?」
「ああ、いつでも主治医に連絡が出来るようにと持ってる携帯があるぞ。」
「んじゃ、これ俺の携帯とアプリID…。咲都子、直接話すのが嫌ならメッセージでだけでも話をしよう。」
と私の気持ちを破壊する雪崩のような峯岸君の言葉が押し寄せて来る。