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籠の中の天使
第9章 告白
「それで、塚本先生のご要件は?」
南斗が千紗先生に声を掛ければ千紗先生は私に興味を失ったように南斗の傍へと歩み寄る。
「夏休み中のバレー部の部活の事でお願いがありまして…。」
千紗先生が上目遣いで南斗を見る。
今にも南斗に寄り掛かりそうな距離で千紗先生が南斗と話す。
時折、チラリと私を見る千紗先生の視線は私に邪魔だと言ってる気がする。
千紗先生の話は先生が顧問を勤めてる女子バレー部の事…。
そもそも、うちの学校にはスポーツ専用のクラスがなく、部活はあくまでも自由意思とされている。
一応は進学校…。
トップクラスの大学に行く子は僅かではあるけど、そこそこの大学なら8割以上の学生が進学する。
そんな学校の部活に先生方は余り熱心な活動を望んでおらず、茂君の所属する野球部だって甲子園の地区予選程度で敗れてる。
なのに今年の女子バレー部はインターハイまで後一歩だったと千紗先生が熱弁する。
「それで秋高に向けて、この夏休み中には合宿をしたいと生徒達が希望しています。丁度、春高の強豪校からも合同合宿の話を頂いてまして…、ただ保健医まで強豪校の方に頼るのはうちの学校としてもどうかと思うという意見もあり、持田先生のスケジュールが合うのなら是非に引率をお願い出来ないかと…。」
千紗先生がシナを作り、満面の笑みで南斗に迫る。
「合宿ですか…。」
保健医として南斗が悩む。
行かないで…。
子供のままの私は心の中でそう叫ぶ。
「3泊の予定ですが…、インターハイが終わり次第、合同合宿という予定の連絡が既に来ています。子供達も知らない保健医の先生よりも持田先生の方が安心だと言っておりますし…。」
千紗先生が南斗は自分のものだと言わんばかりの勝ち誇った顔を私に見せる。
この人はいつだって自信満々な態度で私を見下してると感じるから、どうしても好きになれないと思う。