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籠の中の天使
第9章 告白
峯岸君が登校した瞬間、状況が変化する。
「咲都子、昨日、俺が教えたIDは登録してくれなかったの?」
私を覗き込むようにして峯岸君が話をする。
「ID?」
杉山さんが不思議そうに私と峯岸君を見る。
「咲都子、携帯持ってるって…。」
峯岸君の一言で上地さんと杉山さんまでもが騒ぎ出す。
「えー?なら咲都のIDを教えてよ。」
「私ら、グループやってるから咲都も入れてあげる。」
どう答えるべきかわからずに狼狽える。
「それとも、私らは友達じゃないから携帯すら教えたくないって思ってるの?」
上地さんの言葉が私の心を抉り出す。
「別に…、そんな…つもりは…。」
「だよねー…、たかが携帯だし…。」
遅れてやって来た向井さんも含めて皆んなでIDを交換する。
「やっと咲都子の携帯に登録された。」
峯岸君が嬉しそうな表情をする。
「なんで峯岸まで登録するのさ…。」
上地さんが峯岸君を睨めば
「俺と咲都子は持田先生公認だからな。」
と峯岸君が自慢げに話す。
「うっそ?委員長、咲都ちゃんと公認?」
「マジ?」
「いつから?」
あっという間にクラス全体が騒ぎ出す。
頭の中に皆んなの声が一気に入って来て割れそうなほど痛くなる。
景色が歪み、色々な人のニヤニヤした嫌な表情だけが私を取り囲んでる気がする。
籠娘…、籠娘…。
籠の中の鳥は…。
いついつ出やる?
私を中心に取り囲むクラスメイト達からそんな歌が聞こえる。
「咲都子っ!?」
向井さんの声がする。
「茂っ!すぐにモッチーを呼んで来て、皆んなは咲都子から離れてっ!委員長も優希も、公認だの友達だのって言う前に咲都子の顔色ぐらい察してやりなよっ!」
凄い剣幕で叫んでる。