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籠の中の天使
第10章 快楽と戸惑い



丸3日、食べてない私の食事はスープからだ。


「他に欲しいものがあれば南斗に持って来させるよ。」


北斗さんがニヤリと笑う。

南斗は私が欲しいものならなんでも買い与えて甘やかすと北斗さんが冷やかす。


「今は、お風呂に入りたい。」


その南斗と会うのに、いつまでも臭いままなのは嫌だと北斗さんに言えば北斗さんが苦笑いをして


「まだ2、3日はお風呂を認められないな。」


とか言う。


「そんなに?」

「咲都子ちゃんの身体の水分とかギリギリだし、体力もなくなってるから、風呂で倒れる可能性がある限り病院としては風呂を認める訳にいかないよ。」

「そんなぁ…。」


ガッカリした私を看護婦さんがクスクスと笑う。

この看護婦さんは持田病院に長く勤めてる人だから、私もよく知ってる人だ。


「お風呂は確かに無理だけど、病室に付いてる洗面所で髪だけなら洗えるわよ。」


この病院は産婦人科…。

私の病室は3つある個室のうちの1つで、病室内にトイレと洗面所が付いてる。


「髪だけなら洗っていいの?」

「風邪を引かないように、しっかりと拭いて乾かすと約束が出来るなら許可してあげる。」


たかが髪を洗うだけでも、体力の無い私には北斗さんも口煩くなってしまう。

食事の後は看護婦さんに手伝って貰い、洗面所で髪を洗う。


「咲都子ちゃんの髪は真っ直ぐで綺麗な髪ね。」


私の長い髪を看護婦さんが褒めてくれる。


「そう…ですか?」

「うちの娘、まだ中学生なんだけど、私に似て天パが入ってるからストレートをあてたいとか言うのよ。」


看護婦さんの髪は1つに纏められててわかりにくいけど、うなじの後れ毛が少し縮れてる。


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