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籠の中の天使
第10章 快楽と戸惑い
残りの夏休みは南斗とこんな風に過ごしたいと思う私なのに、南斗は私を突き放す。
「今日、向井が保健室に来た。」
「向井さんが?」
向井さん達は部活をしてない。
「野球部の彼氏の練習を見に来たついでだとは言ってが、咲都子の体調を気にしてたぞ。」
「うん…。」
「携帯…、まだ電源を切ったままか?」
私が引き籠もりにならないようにと南斗なりに私を外へ出す機会を伺ってる。
「後で…、連絡してみる。」
私の答えに満足する南斗が私を抱き締める。
「俺も仕事があるし、バレー部の合宿とか留守にする日もあるから咲都子は自分のやりたい事を探せ…。」
身体は温もりを感じるほど傍に居るのに、南斗の心が遠いと感じる言葉だった。
翌朝、南斗が学校に出勤してから私は携帯を開く。
杉山さんや向井さん、上地さんとのグループトーク…。
恐る恐ると私の言葉を震える手で打ち込む。
『返事しなくてごめんなさい。1週間ほど入院してて、今帰って来たところです。』
そう送ると間髪入れずに杉山さんと上地さんが
『入院?』
『もう大丈夫なの?』
『今は家?』
『遊びにとか行けそう?』
と聞いて来る。
困ったな…。
どう返事をすべきか迷うと向井さんが
『瑠奈も優希も煩い。あんまり煩くするなら私はグループを抜けるって言ってあるでしょ?咲都もウザいなら抜けていいよ。笑』
とか書き込む。
『ウザくないよ。』
慌てて返す。
『ごめん…、静かにする。』
『退院おめでとう。』
『皆んなで遊びに行く日が決まったら連絡するね。』
と上地さん達からのメッセージが続く。
その裏で向井さんから個人用のメッセージが来る。
『グループは待ち合わせとかの連絡用だから、無理に参加する必要とか無いよ。瑠奈と優希のメッセージは半端ないからね。』
と教えてくれる。