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籠の中の天使
第2章 苦しみと光…
退院の前日…。
お母さんとお父さんを連れて南斗が病室にやって来た。
「咲都子…、家には帰らないのか?本当に南斗君と暮らすのか?」
お父さんが私を責めるような言葉を吐く。
私がまだ中学生だから…。
私はあの街の籠娘だから…?
お母さんは黙ったままとはいえ、相変わらず悲しげなまま私の素肌へ突き刺さる視線だけを向ける。
私は親である前にあの街の人間であるお父さんとお母さんの声が聞こえないフリをして南斗にだけ手を伸ばす。
「今しばらくの間だけ咲都子を街から出します。もう少し咲都子が落ち着くまで待ってやって下さい。」
南斗は私を抱きかかえながらお父さんとお母さんに頭を下げる。
「今は…、南斗君に任せましょう。」
お母さんがそう言うからお父さんも諦める。
今、私が家に帰っても私の心が耐えられないと北斗さんも南斗も理解してくれてる。
私の家と言ってもお店の奥になる。
裏口から入りお客さんが通らない廊下を抜け扉を開ければすぐに台所があり、その更に奥には小さな部屋が2つある。
昔はお店で働く女の子も一緒に住んでたという居住空間。
流石に今の時代ともなれば従業員は自宅から通って来る為に妓楼を経営する家族だけがそこで暮らしてる。
建物の1階部分にある陽の当たらない小さな部屋の1つをお父さんとお母さんが寝室として使ってる。
もう1つが私の部屋として存在してるとはいえ窓が無く薄暗い物置と変わらない。
因みに南斗の家も同じ造りで、南斗は北斗さんと同じ部屋だった。
しかも私の部屋の真上になる2階の部屋はお店のホステスである女の子が毎日、お客さんと性行為を繰り返す。
そんな環境に今の私を戻すべきではないと北斗さんが判断した為に南斗が私を引き取る事になったらしい。