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籠の中の天使
第13章 夢の中へ



地面を歩く足が宙を浮いてるような気がして落ち着かない。


「やべー…、間に合うかな。」


そう言ってノアが高級車を飛ばす。


「間に合う?」

「とりあえずランチ、そっからかなり走るぞ。」

「ドライブって事?」

「目的地が遠すぎる。本気のデートだったら前日から準備して行くような場所だからな。」


ノアの車が高速に乗り海に向かって走り出す。

小一時間ほど走った高速を降りると景色が海岸線に変わってく。


「腹は減ったか?」


不安気なノアの声…。


「大丈夫、あんまりお腹が空かないの。」


もう1時を過ぎてる。

本当ならお腹が空いてる時間だと思うけど、朝ご飯すら食べてない私なのに感覚が麻痺してる。


「そんなんだから痩せてんだよ。肉の無い女とか俺は嫌いだよ。」


ノアの言葉に胸がチクリと痛む。

嫌い…。

そんな風に言われるとノアの傍に居られなくなる気がする。


「俺が咲都子を太らせてやる。」


運転しながらノアが私の肩を引き寄せる。


「ノア…。」

「暗い顔すんな。デートなんだからお前は可愛く甘えてりゃいいんだよ。」


一つ一つが南斗と重なる。

なのに南斗の時には出来なかった事がノアとなら出来る。


「うん…。」


ノアに甘えて彼の肩に頭を寄せる。

海岸沿いのレストランに車が停まる。

トラットリアと書かれた看板…。


「ここのシーフードピザが最高に美味い。」


ノアが嬉しそうにお店へ入る。

お洒落なイタリアンレストラン…。

慣れた風にお店の中を進むノアが窓際の席に私を座らせる。


「凄ーい…。」


窓の向こうには水平線が見える。


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