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籠の中の天使
第13章 夢の中へ
階段を上がり、公園の丘の上まで来ると小さな美術館がある。
洋風の可愛らしい建物のテラスはカフェになってて綺麗な湖を見渡せる。
「このテラスから見える景色も美術館の展示品の一つになってるのが売りらしい。」
美術館のパンフレットを見ながらノアが教えてくれる。
小さな美術館の中を観て回り、夕日が沈む湖を眺めながらカフェでアイスオーレを飲む。
生クリームが乗るカフェオレはとても甘くて疲れた身体を癒してくれる気がする。
私が見るのは湖の景色よりもノアの方…。
夕日に染まるノアの髪がいつもよりも赤くキラキラと光を放つ。
吸い込まれそうな紅い瞳…。
男っぽい手…。
ノア自身がこの美術館の芸術品のようにも見える。
「そろそろ行くか…。」
カフェのテーブルから立ち上がるノアの手を慌てて掴んじゃう。
アタフタとする私をノアが笑う。
「何?もしかしてトイレか?ゆっくりと行って来いよ。置いてったりしねえからさ。」
カフェの向こう側に見えるトイレをノアが指で差す。
カッコいいのに…。
ちょっとムードが無い。
「行って来ます。」
口を尖らせてトイレに行く。
用を済ませて手を洗いながらため息が出る。
私って体力が無いな…。
車に乗ってただけのくせに疲れが出てる。
トイレから出てノアが待つテーブルに戻る。
「もしかして、疲れたか?」
テーブルから立ち上がるノアが私の肩を抱く。
「こんなに出歩いたの久しぶりだから…。」
「だったら帰るか?」
そう聞かれて戸惑う。
あの街に帰される。
まだノアと居たい。
「大丈夫だよ。もう少し…、ノアと居たい。」
無理に笑顔を作る。