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籠の中の天使
第13章 夢の中へ



とても広い駐車場だった。

でも、真っ暗でよく見えない。

駐車場を出てノアが真っ暗な中を突き進む。

闇に怯える私の肩を抱くノアの手に力が籠る。


「時間だ。」


ノアが呟くと同時に辺りが急に明るくなる。

突然の光に目を覆う。


「何…?」


謎の光から足が一歩分下がっちゃう。


「大丈夫だよ。」


笑うノアが私の背中を押す。

怖がる必要は無いのだと南斗と同じ手が私を励ます。

光の中には大きな門があり、その前にズラリと妖精のコスチュームを着た人が並んでる。


「ようこそ、魔導王国へ…。」


透ける大きな羽根を付けた女の人が門の前で私とノアに跪くと、徐ろに門が開き出す。


「ここ…。」

「言ったろ?咲都子に魔法を掛けてやるって…。」


自信に溢れた笑みをノアが浮かべてる。

今、一番人気のレジャースポットだ。

連日満員でチケットすら取れない新感覚アトラクション…。

『魔導王国』という名のレジャーランドは訪れたお客が魔法使いの見習いになり、色々な魔法を操る体験が出来る。

魔法使い見習いをサポートして案内するのがスタッフが扮する妖精達という設定に大人も子供も興奮する。

まさに夢の国と呼べる『魔導王国』…。

本来なら夜の8時までの営業のはず…。


「今日は2時間だけ貸し切りにした。本気のデートなら1日分を借りるけどな。」


照れた笑顔をノアが見せる。


「貸し切りとか出来るの?」

「ここも親父が出資してる。」


どうやらノアの本気のデートはお父さんの力が大きいらしい。


「それって…、狡だ。」

「狡くても咲都子が楽しけりゃいいじゃん。」


私の手を掴むノアが門の中へと入ってく。


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