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籠の中の天使
第14章 同情



「放っておけるかよ…。」


南斗の苦しみが私の心に注がれる。

彼をこの苦しみから解き放ってあげたい。

そう思うのに南斗の温もりが私を縛り付ける。


「お願い…。」


この街という籠からはもう出たくないのだと懇願する。

泣きたくないのに…。

勝手に涙が溢れ出す。

南斗が私の額に口付ける。

千紗先生の事は誤解だと言いながら、この後に及んでキスをしてくれない南斗に苛立ちしか感じない。


「帰って…。」


南斗を突き放そうとする私の手を南斗が握る。

私との繋がりを求める恋人繋ぎ…。

その手の甲に南斗が口付けをする。

私と南斗の繋がりを今でも確認しようとしてる。


「や…めて…。」


私は南斗に口付けを返さない。

返せば、再び南斗を傷付ける事になる。


「ダメだ…、とにかく咲都子を病院に連れて行く。」

「嫌よ…。」


病院になんか行く必要はない。

今の私は普通に生活をしてる。

お母さんが作った食事を食べて、ちゃんと眠ってる。

体調だって崩してない。

『たこ八』の定休日になればノアにも会いに行く予定だ。

今の私は引き篭るだけの籠娘じゃない。

だから、もう南斗は必要ないのだと南斗が納得が出来るようにちゃんと説明しなきゃ。

私にはノアがもう居る事を南斗にわかって貰おうと引き攣った笑顔で南斗を見る。


「あのね…、南斗…。」


私の言葉を遮る南斗の人差し指が私の唇を塞ぐ。


「咲都子…、今日が何月の何日か言えるか?」


優しい笑顔が問う。

何月の何日…。

まだ夏休み…。

わかり切った事を聞く南斗に口を尖らせる。


「8月の…。」

「今はもう9月だ…。」


南斗の言葉に絶句する。

そんなはずは無い…。

私は毎日、普通にしてた。


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