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籠の中の天使
第2章 苦しみと光…
「部屋、気に入ったか?」
少し照れくさそうな南斗の質問。
「うん…、ありがとう…、南斗が居てくれて良かった。あの街から出られて本当に嬉しい…。」
素直にそう答えた。
南斗だけが私の理解者だと思う。
南斗さえ傍に居てくれればいいと願う。
でも、南斗は私の背中をトントンと軽く叩き
「ほら、飯を食えって…、いつまでも買い物に行けないぞ。」
と言いながら、そっと私を突き放す。
まだ恋とか知らない私は、そんな南斗の小さな態度の変化に気付くはずもなく、これからは南斗と穏やかな普通の暮らしが出来きるのだ単純に喜んでいた。
南斗が私の為に用意してくれたお昼ご飯は見た目が悪いオムライス…。
冷凍のチキンライスにぐしゃぐしゃにしただけの玉子が乗ってるって程度の簡単な食事だったけど、そんな食事でもスーパーで買って来た冷めたお惣菜ではなく、誰かの手作りで出来たての温かな食事というだけで覇者いじゃう。
「料理は北斗さんの方が上手だよね。」
「兄貴ならちゃんと玉子でくるめるからな。」
「でも、お腹に入っちゃえば同じだよ。味は北斗さんが作るオムライスと同じだし…。」
「そりゃ、兄貴と同じ材料を使ってるからなぁ。」
お母さんが料亭の女将である以上、私や南斗は料亭用に用意された食事の残り物か、スーパーで買って来たお惣菜をレンチンで温めて一人で食べるのが当たり前だった。
一人じゃ寂しいからとお母さん達を待ってても夜はお店が忙しい為に、このままでは私の食が細くなるばかりだと南斗と北斗さんが私のご飯を用意して一緒に食べてくれる事が多かった。
だから南斗との新しい生活では私が南斗の為にご飯を作れるようになりたいとか考える。