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籠の中の天使
第2章 苦しみと光…
なのに…。
そんな考えの私と南斗の考えは違った。
「咲都子、ちゃんと高校に行くつもりはあるか?」
オムライスを頬張る私に南斗が言う。
学校には2度と行きたくない。
オムライスを乗せたスプーンが止まり、フルフルと震え出す。
全身の毛穴が開いたみたいな感覚を受けて寒気に鳥肌が立つ。
「大丈夫…、今の中学校に行く必要はない。その代わりに咲都子には家庭内学習をして欲しい。」
南斗がテーブルから立ち上がり、私の方へと回り込むと私の震える手をゆっくりと握る。
「家庭内学習?」
「そう、咲都子が本当にあの街から出ようと思うなら最低でも高校を卒業する必要がある。」
「学校なんかっ!」
学校なんか行けない。
また私は獣達に襲われる。
「落ち着け…、全ての学校が咲都子に暴力を振るう訳じゃない。俺が勤めてる学校なら咲都子の事情を考慮してくれる。」
「…。」
「咲都子はまだ中学生だ。ずっと、この部屋に引き篭ってるだけの生活は出来ないんだよ。」
「でも…。」
「咲都子、俺の学校に来い。別に教室に行けとは言わない。高校は中学と違って単位さえ取れば卒業が出来る。俺が居る保健室に通うだけでも問題はない。」
「それは、ずっと南斗と居られるって意味?」
そう聞くと南斗が辛そうに顔を歪める。
「いや…、俺の高校に来たら、咲都子は自分の家に帰らなければならない。」
「嫌よっ!」
「咲都子っ!」
興奮する私を南斗がギュッと抱き締める。
「嫌よ…。」
せっかく素敵な自分の部屋が出来たと思ってたのに…。
南斗と始める新しい生活に胸を膨らませたのに、私はまだあの街の子供であり、しっかりと高校を出なければ、あの街からは逃げられないという現実を南斗が突き付ける。