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籠の中の天使
第14章 同情



『たこ八』のおばさんが悪い事をするのは新しく出来た街の人だと私達に言っていた。

新しい街はあの街を潰そうとしてる。

新しい街を開発した不動産会は作った街の価値が下がるという理由で私達の街も買い占めようとした。

実際に妓楼を手放した人もたくさん居た。

『たこ八』のおばさんだって妓楼を手放しはしたけど、不動産会社にではなく緋色さんに譲る形で手放した。

あの街を存続させようとしたい古い人からすれば、新しい街の人は悪い人になる。

私を襲った子達も新しい街の子だった。

そんな街に向かってノアは歩く。

ノアが向かってるのは新しい街の象徴のように高く建てられたタワーマンション…。

あの街を見下ろすように建てられたマンションの価値の為にあの街が潰されるかもしれないと街の人達は怯えてる。

そんなマンションの前でノアが立ち止まる。


「ここ…、俺の家…。」


てっぺんが見えないマンションを見上げるノアが言う。


「ここに…、住んでるの?」


ノアか新しい街の人間だと初めて知る。


「咲都子も…、しばらく一緒に住んでみないか?」


照れ臭そうに言うノアが私から目を逸らす。


「ノアの家族は?」

「俺、一人暮らし…、咲都子みたいにちっさいのが1人くらい増えても平気…。」

「迷惑になるって言ったじゃん。」

「お前の心配させられる方が俺には迷惑なんだよ。」


私が逃げ出さないようにとノアが手を強く握る。

私とノアの不思議な生活の始まりだった。

ノアの家は最上階の50階…。

最上階だけ直通エレベーターがあるからという理由だけでノアのお父さんが買ったマンションらしい。


「ノアって…、お父さんがお金持ち?」


ノア自身が私を助けるというよりも、ノアのお父さんのお世話になってる気分になる。


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