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籠の中の天使
第14章 同情
走るのが速かったノアは言葉の壁をアメフトで乗り越える。
チームに入り、活躍するノアを誰もが褒めてくれるから、ノアも居場所が出来たと喜んでた。
その喜びは中学生までだったとノアが笑う。
「あちこちから優秀な選手が集められた強豪チームを所有する高校からスカウトを受けた。」
素直に喜んで入学したノアの地獄が始まった。
ノアを待ってたのは白人至上主義のチーム…。
クォーターであるノアはアジア人の扱いしかされない。
「スタメンはオール白人でさ…。そいつらが負けそうな時だけ試合に出して貰えるんだ。」
もしも、試合に負ければノア達、白人以外の選手の責任になる。
勝てたとしてもスタメンが褒められるだけでノア達の活躍は否定されて終わる。
「そんなの…、酷い…。」
「そういうもんさ。圧倒的な強さが示せるスペシャルな奴なら話は変わって来るのだろうけど、皆んなが似たようなレベルで集められたチームの場合、自分が次に目指す世界へと登り詰める為には、生まれや肌の色だけでライバルになる相手を蹴落としながら進むしか手段がなくなる。」
スタメンに入れる数は限られてる。
そこから大学やプロのチームという華やかな世界に進める人間は僅か一握りの人だけだ。
居場所が欲しくて始めたアメフトでも再び居場所を失うしかないのかとノアが諦めかけた時に、日本の大学からスカウトが来た。
「アジア人なんだから素直にアジア人ばかりの学校に行くべきだと誰もが思う事じゃん。」
ノアだけが日本に帰って来た。
帰って来たノアを取り囲むマスコミ…。
世界的レーベルの社長と女優の息子…。
アメフトの本場であるアメリカ帰りのスタープレイヤーとしてノアはチームに迎えられる。