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籠の中の天使
第14章 同情
「考えが甘かった。」
日本の大学でのノアはアメリカ人扱いを受ける事になる。
国籍は間違いなく日本国籍のノアなのに赤毛で目立つノアに対する期待はアメリカ人プレイヤーに対して向けられる期待ばかり…。
「俺も調子に乗ってたとは思うけどさ…。」
ノアは潰された。
有名人の子供でアメリカ帰りのスター選手は試合に出る度にマークされて攻撃を受ける。
ある、小さな試合で受けたタックル…。
それはボールを持ってないノアに対して行われた反則のタックルであり、危険行為だった。
不意に受けたタックルに油断していたノアは受け身すら取れずに地面へ叩き付けられる。
肋骨が折れ、その肋骨が肺を傷付けて半年以上の入院を余儀なくされ、ノアの選手生命が終わった。
ずっと居場所を求め努力を続けて来たノアが本当に居場所を失った瞬間の哀しみを感じて涙が出る。
「咲都子が泣く事ないじゃん。」
おどけて見せるノアに涙しか見せられない。
ノアは強いとしか思ってなかった。
ノアがどれだけ傷付いたのかなんて知りもしなかった。
そこへ行き着く為の努力も全て踏み躙られたノアに甘ったれて縋るだけの私ではノアを助ける事も出来ない。
「ごめんね…、ごめんね…。」
「咲都子が謝る必要はないだろ?」
私の頭を撫でてノアの方が私を慰める。
「なんで、そんなにノアは強いの?」
ノアの強さに憧れる。
私にノアの半分の強さがあれば、南斗に辛い思いをさせずに済んだかもしれないと思うと再び泣きたくなる。
「強くはねえよ…、強がってはいるけどな。俺は男だし、強がらないとやっていけねえじゃん。今更、自分の弱さを認めたら死にたい気分になっちまう。」
棚へボールを戻すノアがリビングの真ん中にあるソファーへ私を連れて行く。