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籠の中の天使
第15章 不思議な味



「不味くないの?」


恐る恐ると聞いみれば


「誰かが誰かの為に作った料理を不味いとは思わない。」


とノアが言い切る。

少し嬉しくてノアと2人で食べるオムライスが美味しいと思う。


「お腹…、いっぱい…。」


久しぶりにちゃんと食べた感覚がする。

お腹がいっぱいになると急に眠気が襲って来て、大きな欠伸をしながらオムライスの後片付けをする。


「先に寝てていいぞ。」


洗い物を手伝ってくれるノアが言う。


「1人で寝るのが怖いの…。」


ノアになら素直に言える。

1人で眠ると、あの日の地獄を思い出す。

思い出さない日でも、悪夢にうなされたりして何度も飛び起きてしまう夜が怖い。

明けない夜に怯える私の頭をノアが撫でる。


「だったら2人で寝ればいいだけじゃん。」


余裕の表情でノアが私の顔を覗き込む。


「いいの?」

「その代わり、俺が咲都子に欲情しても文句を言うなよ?俺だって男だからな。自分のベッドに女が寝てたら我慢とかしてられない。」

「ノアのエッチ…。」

「男は皆んな、そういうもんだ。我慢する方が間違ってる。」


洗い物を済ませたノアが私の手を握る。

南斗は我慢をして来た。

ノアは我慢なんかしないと言い切る。

ノアを見上げた私の頬にそっとノアの唇が触れる。


「俺に期待してる?それとも俺と最後までするのが怖いか?」


クスクスという笑い声と共にノアが囁く。

ノアが怖い訳じゃない。

ただ身体が勝手に反応する。

身体の反応に逆らうように心が迷子になる。

その感覚を伝えるのが難しい。

答えに迷う私の肩を抱くノアが2階へ向かう階段を上がる。


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