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籠の中の天使
第15章 不思議な味
2階には部屋が3つ…。
「1人で寝るなら奥のゲストルームを使えばいい。」
最後の選択肢を私に与える。
ノアと寝室を共にするのなら…。
お腹の奥がキュンと疼く。
期待してる?
ノアの愛撫に溺れる自分を想像するだけで耳まで熱くなる。
「まっ…、いいか。」
私の返事を待たずにノアが自分の寝室へ私の手を引いて入ってく。
「ノ…、ノア…。」
緊張する。
部屋はシンプルな部屋だった。
真っ黒で大きなベッドが真ん中にあるだけで後は壁際がクローゼットになってる以外は家具も何もない。
窓はリビングと同じで街全体の夜景が映ってるのにカーテンすらないから写真のようにシンプルで何処か殺風景に見える。
装飾らしきものはベッドのヘッド部分に付いてるスタンドライトと読みかけの本があるという程度だ。
立ち止まって部屋を吟味する私の身体が宙に浮く。
「やんっ!」
私を抱えたノアが乱暴にベッドへ放り投げる。
「さっさと寝るぞ。俺は眠い…。」
ぶっきらぼうにそう言うノアは我先にとベッドに潜り込む。
「この本、ノアが読んでるの?」
何処かの大学の偉い教授が書いたとかいう経済学の本…。
著者名が『国松』となってる本を私が見れば、ノアが私から本を取り上げる。
「大学で使う資料…、読みたくて読んでる訳じゃない。」
「でも、国松って…。」
「俺の婆さまの弟の子…。つまり親父の従兄弟が書いた本…。」
「それが大学で使われてるの?」
「俺、一応は経済学部だからな。この人は経済学の世界じゃ第一人者とか言われてるし…。」
「会った事…、あるの?」
「ない。多分、親父もないよ。国松って本家以外は国松じゃないからな。」
「本家?」
「もう、寝ろ。」
無理矢理に私を抱きかかえたノアが寝る。