この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第16章 罪な事

お店に入るなり市原さんが笑顔で私を出迎えてくれる。
「なぁに?1回のデートで玲夜君をモノにしたの?」
冷やかしの言葉に狼狽えちゃう。
「モノに…とか…違います…。」
「違わないでしょ?あの冷血玲夜君が咲都子ちゃんの本格的な全身コーデを私に依頼して来るぐらいだもの。」
「冷血?」
「そうそう、下手なモデルよりも女の子にモテるくせに、俺に近寄るなオーラをやたらと出すから近寄り難いのよ。」
ブティックのソファーに座って携帯を弄るノアを見ながら市原さんがクスクスと笑う。
「ノアは優しくて…全然、近寄り難くないです…。」
そう答えた私を市原さんが笑う。
「それだけ咲都子ちゃんの可愛さに玲夜君が惹かれたって事よ。」
一通り、私を冷やかすと市原さんは用意していたお店のロゴ入り紙袋を幾つもノアの前に置く。
「頼まれてた服ね。上の服に合わせてスカートもパンツも合うように組み合わせてあるから…。」
市原さんの説明にノアが
「サンキュー…。」
と言いながら紙袋の中身を確認してる。
「俺…、全身って依頼したよな?」
紙袋の中身が足りないとノアが言う。
「ああ、残りは沙来(さらい)姉さんのとこ…。」
「げっ!沙来姉かよ。」
「依頼がいきなり過ぎて荷物がこっちに届かなかったもの。咲都子ちゃんのイメージは伝えてあるし、沙来姉さんならもう用意してくれてるはずだから自分で取りに行ってね。」
ニコニコと笑う市原さんとは対照的にノアの表情が暗くなる。
「ノア…。」
「咲都子の服を貰いにもう1軒行くぞ。」
ノアが荷物を持ってソファーから立ち上がれば
「いってらっしゃーい。」
と市原さんが軽やかに手を振る。

