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籠の中の天使
第16章 罪な事
そんなに厳しい人に会わなければ着替える下着が無い今の自分の立場は惨めな気がして足が止まってしまう。
エレベーターを降りるとかなり高級なフロアだと感じるお店ばかりが並んでる。
女性用のファッションフロアだとはわかるけど、高校生が気楽にお買い物に来て良いような場所だとは思えない。
それだけの格式を持つブランドショップが並ぶフロアの中央に向かってノアが私を連れて歩く。
沙来さんのお店は市原さんのお店とは随分と対照的で真っ黒な壁に囲まれてる。
「ここが…、ランジェリーショップ?」
一見すると普通のブティックの様にも見える。
ショーウィンドウにはちょっとしたパーティーで着てもおかしくないドレスのようなベビードールが飾られている。
「遅いっ!」
漆黒のランジェリーショップの中から突然、そう言われる私は慌ててノアの後ろに隠れちゃう。
そっと覗き見た声の主はとても背が高くゴージャスな女性だ。
「沙来姉…、咲都子がビビるから…。」
ノアが気不味そうに沙来さんに言う。
「あら、やだ。どうせ玲夜と穂奈美が私の事を怖い女だとか吹き込んでから連れて来たせいでしょ。」
フンッと鼻を鳴らし、ふわりと巻き毛を搔き上げる沙来さんは全てをお見通しだとノアを見る。
「穂奈美さんは何も言ってない。」
「なら玲夜だけが言ったのね。」
「それは…、言った。」
「素直でよろしい。」
威厳を感じさせるノアを軽くあしらう沙来さんは物語に出て来る女王様のように堂々とした人だと思う。
ブラウスのボタンはブラジャーのレースが見えるほど開けて、綺麗な胸の谷間を惜しげも無く晒してるのに、そのいやらしさや卑猥さを一切感じさせてはいない。
ピッタリとしたタイトなスカートのウエストは有り得ないほど括れていて、ピンと背筋を伸ばした佇まいはモデルだと名乗っても違和感を感じないほど美しいと思わせる。