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籠の中の天使
第16章 罪な事
「罪…、ですか?」
「下着は特別な人に見せる為に存在するの。その気の無い男に見せるつもりで買わせるのは自分を傷付ける事にも繋がるわ。それは罪以外の何ものでもないでしょ?」
沙来さんが私の嘘を見抜く瞳で鏡の向こう側から私を見る。
「玲夜はさ、私達の世界を嫌ってるし、自分の立場すら呪ってるような子だから人との関わりを極端に嫌う子なのよ。」
「沙来さんの世界ですか?」
「うん、まあ…、親戚って訳じゃないけど、親同士が色々と繋がりを持ってる人達って感じかな。」
沙来さんの話からして国松の関係って事だと思う。
「その人嫌いの玲夜が受け入れた女の子だとは穂奈美から聞いてはいたけど、咲都子ちゃんは玲夜をそういう男として見てないみたいだから…。」
沙来さんの言葉に息が詰まりそうになる。
私はノアを利用してるだけの女だと思う。
南斗への気持ちが報われないからとノアに甘えてるだけの醜い籠娘だと沙来さんに見抜かれてる。
「そんな…つもりじゃ…。」
「わかるってる。玲夜だってわかってて咲都子ちゃんを受け入れたのだとは思ってる。あの子はうちの弟と違って馬鹿じゃない。それでも私は玲夜が可愛いのよ。」
「はい…。」
私がノアを利用して傷付けたら許さないと言われた気がする。
「さて、くだらない話はこれくらいにして本来の目的を果たしましょう。」
さっきまでと違い沙来さんが優しい笑顔に変わる。
「目的?」
「玲夜に見せる下着を買いに来たのでしょ?」
「見せるかどうかは…。」
狼狽える私を沙来さんは豪快にゲラゲラと笑い飛ばす。
「とりあえず、見られても困らない下着には着替えて貰うわよ。」
ニヤリと笑う沙来さんが私の服を脱がせて来る。