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籠の中の天使
第16章 罪な事
沙来さんが言う見せる下着とは…。
クロッチ部分以外はほとんど紐だけと言ってよいほど奇抜で卑猥さを感じるデザインになってる。
しかもクロッチとはいえレースで透けて見えるから履いてる意味を感じないとしか思えない。
「こういうのに合わせた網タイツとガーターベルトを付けて、ベビードールを着た姿をベッドから玲夜に見せれば、簡単にその気にさせる事が出来るわよ。」
少し意地悪な口調で沙来さんが言う。
「別に…、その気には…。」
「させるつもりがないって事はわかってる。だから玲夜に見られても可愛いとしか感じない程度の下着を用意すると言ってるの。」
沙来さんの悲しげな視線から逃げ出す事ばかり考えちゃう。
それは母親の瞳…。
我が子を哀れみ嘆く視線…。
お母さんを思い出す沙来さんを怖いと思う。
「いつまでも下着のままじゃ風邪を引くから早く穂奈美が選んだ服に着替えて…。」
急かす沙来さんが私に紙袋を押し付ける。
市原さんがコーデしてくれた服に着替えるというだけで、訳もなく興奮してしまう。
袖が大きく広がりウエストを軽くリボンで絞ったモカカラーのチュニックに赤いタータンチェックを巻き付けるミニスカート…。
チュニックのカラーに合わせたブラウン系のショートブーツに履き替えれば真夏姿だった私が秋に相応しいファッションの女の子に変わってる。
「玲夜には伝えたけど、今から私の知り合いがやってる美容室に行きなさい。」
私のファッションを確認するように目を細めた沙来さんが次の店に行けと言う。
「美容室までは…。」
「行きなさい。それとも、そのみっともない髪と爪で穂奈美のファッションを台無しにするつもり?」
「そんなつもりは…。」
「穂奈美も私も咲都子ちゃんに相応しいと思えるコーデをしたつもりだけど、咲都子ちゃん自身がもっとお洒落になりたいと欲を出してくれなければ私達が選んだコーデは無意味になるわ。」
沙来さんは洋服に負ける女になるなと私を叱る。