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籠の中の天使
第16章 罪な事
「ノア…。」
流石に怖くてスタッフの手から逃げようとすれば
「はいはい、アンタ達。その子の担当は私がやるから、アンタ達は自分の仕事をしなさい。」
と野太い声がする。
「えー?この子達はチーフが担当なの?」
「久しぶりのイケメンなのにーっ!」
女のスタッフ達が口を尖らせれば
「沙来さんの依頼は女の子の方だけよ。男の子の方を触ると逆に沙来さんを怒らせる事になるわよ。」
と野太い声の主が逃げようとしてた私の腕を掴んで来る。
正直、失神しそうなほど怖かった。
真っ黒に日焼けしたモヒカン頭の男の人…。
モヒカンの鶏冠は白に近い金髪に染められてて、耳や鼻にはピアスが幾つも連なってる。
細い色付き眼鏡を掛け、紫色の唇からは野太いオネエ言葉が発せられる状況について行けない私だけが1人でジタバタしながらモヒカンさんの手から逃げようとしちゃう。
肝心のノアの方は込み上げる笑いを必死に堪えているような微妙な表情を浮かべて私を見てる。
「千鶴(ちづる)さん、咲都子は極端に気が弱い。あんまり怖がらせないで欲しい。」
怯える私をこれ以上、追い詰めるなとノアが苦笑いをする。
ノアがこのオネエ言葉を使う色黒のモヒカンさんと知り合いだという状況に驚きが隠せない。
「レイヤ・ノア君だっけ?久しぶりね…。」
オネエモヒカンは私の腕を掴んだままノアに挨拶をする。
「ノア…、知り合い?」
ジタバタを続ける私は聞かずにはいられない。
「前に1、2回ほど会った事がある。日本に居るとは思ってなかったけど…。」
状況を説明しながらノアが千鶴さんと呼ばれるモヒカンさんから私の腕を逃がしてくれる。