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籠の中の天使
第17章 スタートライン
新しい私を見て欲しい。
その願いだけを込めて背中を伸ばし笑顔を作る。
ゆっくりと携帯から顔を上げたノアが私に視線を向けるや否や表情が固まった。
「変…かな?」
引き攣った笑顔を向けたまま不安を口にする。
ノアの頬が薄らと赤みがかってく。
「咲都…子だよな?」
立ち上がったノアが確認するように私の頬に手を添える。
「うん…、似合う?」
「やばい…、すげー似合う。可愛い…。」
暖かな太陽のような明るい笑顔を見せるノアの言葉にホッする。
「千鶴さんも…、市原さんも…、何よりも沙来さんって凄い人だよ。」
惨めな籠娘じゃなくなった私は興奮してはしゃいじゃう。
ノアの指先は私の興奮を宥めるようにゆっくりと頬を撫で続ける。
「でも、咲都子も疲れただろうし腹も減ったろ?もう外は真っ暗だぞ。」
ノアが言う通り、時計は夜の7時を知らせてる。
「ごめんなさいっ!凄いノアを待たせちゃった。」
「いいよ…、待ってた甲斐があったから…。」
そっとノアが色が変わった髪にキスをする。
「ほらほら、イチャつくなら外でやってちょうだい。こっちは今からお店の片付けがあるのだから…。」
千鶴さんの野太い声にドキリとした私とノアは笑いながら慌ててお店を飛び出した。
車に乗ってノアと夜の街を走る。
「飯、咲都子が食いたいのは?」
「ノアの食べたいものでいいよ。」
「食いたいものより、咲都子を見せびらかせる店に行きたい。」
「何…それ?」
「いい女を連れてますって男のステータスを感じたい。」
「いい女じゃないもん。」
今夜のノアは変わった私を見てはしゃいでる。