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籠の中の天使
第17章 スタートライン
私も俯く事なく真っ直ぐにノアに顔を向けて笑えてる。
「腹も膨れて咲都子を見せびらかせる店に行く。」
そんな事を言うノアが向かったのは港近くに出来たばかりのステーキハウス…。
本格アメリカン流のステーキハウスはNYからの出店であり、お店のウェイターが外国の人ばかりだからお客様も海外から来た人が多く、日本人もお洒落な人が通ってる。
少し前の私だと、こんなお洒落なお店は敷居が高くて近付く事すら出来なかった。
今なら、ノアにエスコートされて堂々とお店に入れる。
とはいえ、こんなお店は初心者の私…。
メニューを見ても、さっぱりわからない。
「メインはトマホークで付け合せにオニオンフライとマッシュルーム、サイドはサーモンサラダに生のオイスター、それにロブスタービスクでいいよな。」
手慣れたノアがサクサクと注文するから思わず
「ノアと同じでいい…。」
とだけ言う。
段々と小さくなる私をノアが笑う。
「笑わないでよ…。」
「俺と同じも何も…、始めから咲都子の分が入ってる。トマホークは2ポンド近くあるから追加なんかしたら大変な事になるぞ。」
「ポンドって…、確か…。」
450gくらいあったと思う。
私がノアと同じ物を追加すれば、間違いなく大変な事になる。
「それを先に言ってよ…。」
口を尖らせた私のグラスにアップルタイザーが注がれる。
「お洒落な女の子に注文をさせるとかみっともない事をさせないのがスマートなデートの基本。」
今夜の食事もデートだと言うノアの言葉に顔が熱くなる。
やる事成す事がスマートでカッコいいノアとのデートは私にとっては幸せな夢の時間…。
この夢にいつまでも浸りたいと思いながらアップルタイザーの入ったグラスに口付ける。