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籠の中の天使
第18章 欲しいの…



今の私を市原さんに見て貰う。

初恋の人に会える瞬間を味わうように胸を高鳴らせてノアの運転する車に乗る。


「私…、変じゃない?ちゃんと出来てる?市原さんとのランチに間に合う?」


運転中だというのにノアの腕にしがみついて答えを求めちゃう。


「大丈夫…、時間は充分にある。咲都子は可愛くなった。」


ノアは私の肩を引き寄せてから私の背中を撫でてくれる。

それでも興奮する私は落ち着かない。

ずっと、ソワソワする私をノアが笑う。


「咲都子は俺より穂奈美さんが好きだな。」

「だって…、凄く憧れてた人だもの…。」

「今日はその穂奈美さんから咲都子に会いたいとわざわざ言って来たんだから、落ち着かないと失敗をやらかすぞ。」


ノアの言う通りだと思う。

何度も深呼吸をして自分を落ち着かせる。

いつもはノアのオマケとして会う人…。

今日は私に会いたいと言ってる。

たった、それだけの違いで凄く緊張する。

ノアが市原さんと待ち合わせたお店はハワイアンスタイルのレストランだった。


「こっち、こっち…。」


先に来てた市原さんがテーブルから私達に手を上げる。

ノアにエスコートされながら、そのテーブルに向かう。

同じ向きの手と足が同時に出そうな私をノアが笑う。


「こんな所でコケんなよ。」


耳元で囁くノアの声すら聞こえない。

私の目には市原 穂奈美という女性しか見えてない。

だって、市原さんが私を見て目を丸くしてる。

やっぱり私には市原さんのコーデが相応しくなかったのかという不安が一気に襲って来る。


「嘘…?本当に咲都子ちゃん?やばい…。千鶴さんからは聞いてたけど…。可愛くなったわね。」


テーブルに沈み込んで座った私に市原さんが言う。


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