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籠の中の天使
第3章 学校嫌い
南斗の教え方が上手いから、授業に出てない私でも成績だけは上位に居る。
「もうすぐ…、中間考査だな。」
ゆっくりと車を発進させる南斗が呟く。
校内は徐行し、駐車場の出口からは普通にアクセルを踏み込む。
カーステレオからは軽くてPOPな音楽が流れてる。
私の大っ嫌いな曲…。
80年代のユーロビート音楽だと聞いた事がある。
私も南斗もこの曲を聴いて育って来た。
今すぐ抱き締めて…
心を熱くして…
そんな歌詞が私は大嫌い。
「カーステレオ…、消してもいい?」
口を尖らせれば南斗がふふっと笑う。
「咲都子が嫌いな曲だからか?俺は結構、好きなんだけどな。」
そう言いながらもカーステレオのボリュームを切ってくれる。
「何処がいいの?飽きるほど聴いたじゃん。」
「飽きるほど聴いても飽きないのが良い音楽ってやつだ。この曲は今でも結婚式やプロムで使われてるくらい人気が高い。」
「プロムなんか日本の高校じゃやらないでしょ。」
今日は家に帰される私だから機嫌が悪い。
そんな時は必ず南斗が私の頭にそっと手を乗せてから私の肩を運転席の方へと引き寄せる。
「明後日から連休だから…、荷物を纏めておけよ。」
私が望む言葉を優しく囁く。
連休中なら南斗と居られる。
荷物と言っても学校の宿題とかだけだ。
「明日の夜から行ってもいいの?」
「一応は家に帰って、おばさんに許可を貰え。」
「わかってるもん。」
「来る時にアイス買って来てくれよ。」
「うん…。」
学校じゃ、迂闊にこんな話が出来ない。
二人だけになると南斗は私だけの南斗になってくれる。