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籠の中の天使
第18章 欲しいの…
頭の中が真っ白な私だけが何度もアイスティーをおかわりしてロコモコを食べる羽目になった。
「じゃっ…、明日はよろしくねー。」
スキップしそうな勢いでお店に帰る穂奈美さんの後ろ姿を眺めながら、またしてもため息が出ちゃう。
「俺らも買い物して帰ろう。」
不安がる私を車に乗せてノアが肩を抱いてくれる。
「そんなに緊張とかすんなって…。モデルとか言ったところで給料はびっくりするくらい安いし、大した仕事じゃないぞ。」
売れっ子は別にして、私のように小さくてアルバイトでモデルをする子はそんなに緊張する必要がないと経験者のノアが言う。
「ノアは、何でモデルをやってたの?」
「前に言ったろ?アメフトをやっててスペシャルになれるならいいけど、実力が同じ場合は生まれや育ちが差になるって…。」
「うん…。」
「要するにマスコミに出て既に顔を売ってる奴は、それだけでチームの看板になるから優先して貰えるって仕組みな。」
「じゃあ、何でモデルを辞めたの?」
「日本に来る時に監督から『お前はアスリートとして日本に来るのかモデルとして来るのか、どっちなんだ?』と聞かれたから…。」
大学としては有名人が居るというだけで大学の名前が売れるから嬉しい話だけども、チームとしてはノアがスター選手として特別にチヤホヤされる事を好ましく思わないと言われたらしい。
「まぁ…、そういうのが日本というお国柄なんだろうと受け入れただけの話な。実際、有名人ってだけで試合の度に有り得ないほどの攻撃を受けたのは事実だしな。」
ノアの話を聞いて、少しだけ怖くなる。
「咲都子は心配とかするな。誰もお前を攻撃したりしないよ。」
私を必ず守るとノアが約束をしてくれる。