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籠の中の天使
第19章 羽ばたく瞬間



これが…。

穂奈美さん達の居る世界…。

千鶴さんも穂奈美さんも自分の才能と仕事に誇りを持ち、テキパキと撮影の準備を進めてく。


「まず、咲都子ちゃんから撮影してみようか?」


スタジオ内に設置されたスクリーンの前に立つようにと指示を受けて、そこへ立つ。


暖かい…。


そう感じるほどライトの光が私だけに向けられる。

あまりにも眩しくて視界が真っ白にしか見えない。

自分の立つ場所は砂漠の様な感覚がして足元が安定せず、他の景色の全てが蜃気楼のように揺らめく。


「少し動いてっ!」


そんな声と同時にシャッターを切る音が聞こえる。

知らない男の人の声…。


ここは…何処?


カシャカシャと鳴り響く音から逃げるように顔を背ければ


「顔を上げてっ!とにかく笑ってっ!」


とまた知らない男の人の声がする。


笑う?

どうやって?


籠娘は笑い方を忘れた子…。

醜く歪んだ心が笑顔を歪める。


「この子は後にしよう…。」


落胆する声がする。


「咲都子ちゃん、大丈夫?」


私の肩に穂奈美さんの手が乗る。


「穂…奈美…さん…。」

「大丈夫よ。初めては誰でもそうなるの。ライトが眩しくて自分を見失う。慣れたら、どうって事ないわ。」


スクリーンの前から私を引き離すように穂奈美さんが私の肩を抱いて歩き出す。


「何?あの子…。」

「何をしに来たの?」


私を嘲笑する声がすれ違う。

それは私とは違うモデルさんの声…。

私と入れ替わりにスクリーンの前に立つモデルさんは背が高く、大きく手を広げてクルリとターンを決めると花が咲いた様な笑顔を見せて美しく笑う。

フワリと広がるコートの裾が羽根に見えた。


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