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籠の中の天使
第19章 羽ばたく瞬間
「じゃ、satoってモデル名で年齢とスリーサイズだけを載せるように言っておくわ。」
穂奈美さんの言葉で更に身体が固まる。
「スリー…サイズっ!?」
「当然よ。モデルだもの。咲都子ちゃんのサイズを目安にして読者は同じデザインの服を買うのよ。」
自分の名前や身体のサイズまで公表されると聞いて驚きに泣いてなんかいられない。
「私のサイズなんか…。」
ちっぽけな私のサイズなんか目安になるとは思えない。
狼狽える私の前に髭モジャの男の人が近付いて来る。
「編集部の木梨(きなし)と言います。satoさんは今回が初めてのお仕事なのですね?」
名刺を差し出す男の人が確認する。
初めてのお仕事…。
私なんか使うのは失敗だったと思われたならどうしようとか考えるだけで怖くなり、ノアの後ろに隠れちゃう。
「satoは緊急という事で穂奈美さんから頼まれただけだ。」
私を庇うようにしてノアが前に出れば木梨さんが
「はい、事情は聞いております。今回の撮影、編集部としてもかなり満足がいく撮影でした。つきましては、今後の撮影にもsatoさんに協力をお願い出来ればと…。」
と話を切り出す。
「協力?」
「元『street』の専属モデルだったレイヤ・ノアさんですよね?」
「それが?」
「お2人でうちの読モ契約をしませんか?」
「ああ…、そういう話なら、事務所を通して欲しい。」
「事務所ですか?」
「俺はモデルを辞めたけど、事務所にはまだ所属してる。satoも本格的に活動するつもりなら俺と同じ事務所に入れる予定です。」
「わかりました。また改めてお話をさせて頂きます。」
残念そうな表情をする木梨さんがスタジオから出て行く。