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籠の中の天使
第20章 愛の差
「どうせ年内で俺もあの学校は辞める事になってる。」
何かを吹っ切った南斗が言葉を吐き捨てる。
「なんでっ!?なんで、南斗まで学校を辞める事になるの?」
私のせいだとすれば問題だと思う。
「気にすんな。咲都子のせいじゃねえよ。寧ろ、塚本が原因で辞める決意をした。」
「千紗先生が…?」
「俺と同じ大学だったらしいな。学部が違うから俺の方は全く知らなかったけど…。大学の名簿からわざわざ俺と咲都子があの街の人間だと調べたとか言ってやがった。」
南斗が怒りに顔を歪める。
千紗先生は私があの街の子で事件を起こした子だという事実を学校中に言いふらすと言って南斗を脅迫した。
初めての担任だった。
その担任によりによって私の様な学生が居た。
自分のキャリアに傷が付くと考えた千紗先生は私の過去と南斗の繋がりを盾にして南斗を傷付け続けた。
「信じられないっ!そんな先生とか許せない。」
「そういう教師も居る。誰もが自分を守る事に必死なだけだ。」
「けど、南斗っ!」
「俺は咲都子が守れたら、それでいいと思った。早月先生にも相談はしてあったし…。」
危険な千紗先生を警戒して修学旅行中は早月先生が私に寄り添ってくれていた。
私を守りたいと考える南斗は私を突き放す態度を取るしか出来なかった。
「酷い…。」
怒りだけが込み上げる。
なのに南斗は笑ってる。
「なんで笑ってるのよ。」
「いや…、咲都子…、強くなったな。」
懐かしそうに目を細める南斗が私を見る。
「強くは…、なってないよ。」
「そうか?前の咲都子だと怯えて逃げるだけだったよ。今の咲都子は強くなって俺の為に闘おうとしてくれてる。」
ノアから教わった強さを南斗が褒めてくれる。