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籠の中の天使
第21章 繋がり
子供だったと思う。
あの街で育ち、男と女の繋がりを知ったような顔をしていただけで本当のSEXや愛がわからない子供になっていた。
穂奈美さんや千鶴さんがアパレル業界は厳しい世界だと私に教えたように、男と女の繋がりも甘くはないのだと南斗が言う。
「俺を煽ったのは咲都子だけど、続きをするか?」
南斗の言葉にフルフルと首を横に振る。
天使になってあの街から翔び出せたからといっても、いきなり大人になれる訳じゃないとよくわかった。
「ゆっくりでいいさ。咲都子が嫌だと言っても俺は咲都子と居るつもりだし…。」
「南斗はそれでいいの?」
「それがいいの。咲都子を俺好みの女に育てるとか数多の男が望む究極の夢だぞ。」
南斗が飛び切りの笑顔を見せてくれるから、まだ甘やかされている子供のままでいいのだと思う。
「南斗っ!大好き…。」
そう言って南斗に抱きつけば
「だから…、俺の我慢を少しは理解してくれ…。」
と南斗が嘆く。
理解なんかしたくない。
いつかは普通に南斗と愛し合える日が来ると思う。
その日が当たり前になっても南斗の傍で笑っていられる自分で居たいと願う。
「俺のベッドで寝てもいいけど、パジャマを着ろ。」
「脱がせたのは南斗じゃん。」
「もう1回、痛い思いをするか?」
「今日はやだ。でも明日は頑張るからね。」
私に呆れる南斗とキスをする。
狭い部屋の狭いベッドで南斗と寝る。
それは籠の中で天使が寄り添うのと同じだ。
ノアは天使だった。
私も南斗も天使だ。
神が創り出す運命という籠の中では誰もが天使として生きていく。
死にたいくらいに辛い事があっても、寄り添える人が居れば再び翔べる日がやって来る。
それを知った私はもう迷ったり壊れたりする事はない。