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籠の中の天使
第21章 繋がり
「こんな中途半端な時期に転入して来たって事はいきなりデビューが決まったパターン?」
私の前に座る女の子が聞いて来る。
「デビューとか決まってないです。」
緊張して答えちゃう。
「やだ…、同級生なんだからタメ口で大丈夫だよ。」
クスクスと笑う女の子に見覚えがある。
「もしかして、菊川 三葉(きくかわ みつは)さん?」
「うん、そう。よろしくね。」
20人以上居るアイドルユニットの1人で、菊川さんだけがドラマなどにも出てる売れっ子アイドル兼女優さんだ。
「ドラマ…見ました。ファンです。」
「ありがとう…。」
興奮も束の間…。
「そこ、騒がしいぞ。」
と先生から注意を受ける。
今は授業中だからと菊川さんとの会話を諦める。
その代わり、休憩時間は菊川さんを取り囲む女子会で会話が弾む。
「咲都子ってプロダクションだけは決まってるの?」
「多分…、来週まで待って欲しいって言われちゃったけど…。」
「何処の事務所?この学校に通わせるって事は変な事務所じゃないとは思うけど…。」
「事務所に騙されたって子は実際に居るもんね。」
穂奈美さんも騙されそうになったと言っていた。
そういう事が現実にあるのだと実感する。
「ノア・グループのコスモプロって事務所だけど…。」
恐る恐る聞いてみる。
「ノア・グループって、アメリカンレーベルの?あそこは役者とモデルばかりの一流だから大丈夫じゃん。」
「パリコレも扱ってるもんね。」
「私もコスモなら移籍したいー。」
そんな話が聞けてホッとする。
まだ自分がちゃんとノアに守られてると思えるだけで不安や恐怖が消えていく。