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籠の中の天使
第21章 繋がり



「別に咲都のせいじゃないよ。咲都は咲都で大変だったと思うし、モッチーの事とか、なんとなく…やっぱりって感じで私は納得してるからさ。」


南斗との関係も向井さんだけに話した。

その代わりに向井さんからはお兄さんの話を聞く。


「3年ぶりに兄貴が部屋から出たの。それから、この前、咲都が教えてくれた美術館に2人で行ったよ。凄く静かで綺麗な美術館だった。その日にね、久しぶりに兄貴が『また来たい。』って言ってくれて泣きそうになった。」


私がノアとデートした美術館だ。

人目が気にならない場所を知らないかと向井さんに聞かれて、そこしか思いつかなかった。

3年前、大学受験に失敗したお兄さんが突然、自分の部屋から出なくなったと向井さんからは聞いた。

両親とは話をしないお兄さんが唯一話をするのが向井さんだけで、勉強とかはずっとお兄さんが向井さんに教えてたらしい。


「こんな事、お馬鹿な茂には相談とか出来なくてさ。咲都が教室に来た日に兄貴にも頑張れって話をしてたんだ。」


向井さんは初めて教室に行った日に私とお兄さんが似てると感じていたと言う。


「誰にでも起こる事だと私は思ってるの。他人から見たら、くだらない事でも本人にとっては深い心の傷になるから外の世界に出れなくなるって当たり前に起きる事なんだよ。後は、そこから、どうやって抜け出すかが大事なんだと思う。咲都にモッチーが居たように、兄貴には私が外の世界との唯一の繋がりになってるんだと最近になって少しだけわかって来たよ。」


大人びた向井さんらしい言葉だった。

私に出来る事を僅かでも向井さんにしてあげたくて、北斗さんの連絡先を教えた。

その北斗さんの助言が


『ずっと閉じ篭もると時間の感覚を失って、麻痺を起こすから少しづつ時間を取り戻す事から始めた方がいい。』


という内容だった。


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