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籠の中の天使
第22章 攻撃



契約書にサインをしながら社長が話をしてくれる。


「satoさんの契約については、息子の紹介だけじゃないので社としてもsatoさんの扱いやポジションには慎重にならざるを得なかったのですよ。」

「私のポジション?」

「貴女と契約をするのなら、あの黒沢 千鶴が専属契約をしても良いと推薦書があるのです。」

「千鶴さんがっ!?」

「彼との専属契約はどこのブランドも出版社も望む事…。うちも例外ではないからね。」


契約の遅れに不安を感じる私と違い、余裕を見せてた千鶴さんの自信がとんでもなく大きなものだったと改めて知る。

千鶴さんの専属という扱いなら、どこのモデル事務所でも否とは言わさないという絶対的な自信を持ってる。

千鶴さんの後押しは涙が出そうなほど嬉しい。


「さて…、無事に契約は終わったので、咲都子さんを少しお借りしてもよろしいでしょうか?帰りはこちらで責任を持ってお送り致しますので…。」


商品であるsatoではなく、咲都子とノアのお父さんが言うからドキリとする。


「咲都子ちゃんをですか?」


契約早々に仕事をさせるつもりなのかと北斗さんが疑うようにノアのお父さんを見返す。


「ここからは少し個人的な話を咲都子さんとしたくて…、食事に付き合って貰う程度ですから、そんなに遅くはならないかと…。」


ガードが硬い北斗さんという保護者にノアのお父さんが困った表情をする。


「咲都子ちゃんはどうしたい?」

「社長さんに送って貰う。北斗さんも病院に戻る時間でしょ?」

「ああ、気を付けて帰るんだよ。南斗には俺から伝えておく。」


少しは強くなった私を前のようには甘やかさない北斗さんがノアのお父さんに頭を下げて先に会議室から出る。


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