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籠の中の天使
第22章 攻撃



「本当に失礼な態度を取ったと思っています。」


北斗さんが居なくなると再びお父さんが深々と頭を下げるから私としては狼狽えちゃう。


「いえ…、あの…、大丈夫です…。」


まだ人慣れが難しいから俯くしか出来なくなる。


「なるほど、息子から聞いていた通りだ。」

「ノアからですか?」

「普段は小さくなって、自分の存在を消してしまおうとする。だけど、その存在は本人の手に余るほど大きく、誰もが注目する輝きが有り、スポットを浴びれば途轍もない輝きを放つとね。」


ノアがどんな風に私を見ていたのかはわからない。

私はノアに甘えてるだけの小さな女の子だったという認識しかなく、大きな存在だったと言われても自信が無い。


「ノアは…元気ですか?」


震える声で聞いてしまう。


「今夜は一緒に食事をする予定です。咲都子さんもレイヤを迎えに行きましょう。」


私に差し出された皺がある大きな手を握る。

会社の入り口に出ただけで社内の全ての人が社長であるノアのお父さんに頭を下げる。

そんな光景の中に居る自分に緊張する。

会社の前に停まる車に乗せられる。

運転手付きとか初めての体験にビクビクと怯えてしまう。

後部座席に一緒に乗り込むお父さんが怯える私を見て笑う。

ノアはこんな世界で育った人だ。

高級車が当たり前で、豪華なマンションに住む人…。

改めて、私とは違う世界の人だったと理解する。


「少し、あの子の話がしたくて咲都子さんを誘いました。」


運転手付きの高級車がゆっくりと発進すれば、ノアのお父さんが口を開く。


「ノアの事を…?」


いっぱい迷惑を掛けたと思う。

それをお父さんが怒ってると考えるだけで怖くなる。


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