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籠の中の天使
第22章 攻撃
穂奈美さんや千鶴さんに感じるドキドキと同じ…。
いつかノアと一緒にモデルの仕事をしてみたいとか思っちゃう。
「南斗さんは元気か?」
「うん…、元気…。でも最近は家事を私任せにしてサボる。」
「咲都子の不味い飯に我慢をしてくれるだけでもいいじゃん。」
「不味いって言わないでっ!」
前のようにノアは笑ってくれる。
だけどノアからは前のような同情はなくなっている。
「Dad!」
正門を抜けると車の横に立つお父さんにノアが駆け寄る。
目立つ2人がハグとかすると映画のワンシーンを観てるみたいでボーッとしちゃう。
「いつ、日本に?」
「今朝だ。レイヤが好きなロブスターを持って来た。」
「だから…、俺は料理が出来ないって…。」
「なら僕がビスクを作るよ。」
とても仲の良い親子の間に私が入る隙はない。
「食事…何処に行くの?」
車に乗ったノアが聞く。
私が前に乗ると言ったのにノアが前に乗り、後ろに私とお父さんが乗る事になる。
「レイヤは何が食べたい?」
「肉なら何でも…。」
「お肉は年寄りには辛いんだけど…。」
「じゃ、銀座…。寿司屋でしゃぶしゃぶにすればいいじゃん。」
お父さんと居るノアが小さな子供に見えて笑っちゃう。
「何、笑ってんだよ?」
頬を膨らませるノアが言う。
「だって、ノアがお子ちゃまだもん。」
「お子ちゃまの咲都子に言われたくねえよ。」
多分、これが本当のノアの姿だと思う。
役者としてノアは才能があるとお父さんが言っていた。
私の為に演じていた女の子なら誰もが憧れる男の人はもう何処にも居ないと思う。
「Dad、咲都子の仕事は大丈夫なのか?」
ノアがお父さんに確認する。