この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第22章 攻撃
ノアはお父さんと呼ばずDadと呼ぶ。
「ああ、この1週間を乗り切れば…。」
お父さんが難しい顔をする意味が私にはわからない。
「なら、それまでは日本に?」
「レイヤの部屋に泊まるよ。」
「頼む。俺じゃ限界だとわかってるからさ。」
「Dadに任せなさい。」
食事中もノアはお父さんと私の理解が出来ない話をする。
美味しくて贅沢な食事なのに、ノア親子の仲には入れないまま南斗が待つ部屋に帰りたいとばかり考える。
「咲都子…。」
突然のノアの声にビクリと身体が震える。
「何…?」
「出来るだけの事はする。だけどお前は南斗さんから離れるな。」
怖い表情でそんな事を言うノアに反発する気持ちが湧く。
「言われなくとも…。」
口を尖らせたまま、拗ねた態度しか向けられない。
「何か起きた時は俺かDadに連絡しろ。それから南斗さんの傍からは絶対に離れるな。」
私を送り届けるノアは同じ言葉を何度も繰り返す。
私が南斗と離れたら何があるというの?
2人の紅い炎にだけ見える何かがわからないまま、南斗が待つ部屋へ帰るしかなかった。
雑誌の発売日は緊張したまま、学校へ行く。
誰も私だと気付かずに終わって欲しいとか思っちゃう。
「ねっ?これ、咲都子の仕事?凄いじゃん。市原さんの特集ページでデビューするとか、羨ましいーっ!」
朝一番から菊川さんから発売されたばかりの雑誌を見せられて心臓が止まりそうな気がする。
「もう、出てるのっ!?」
「そりゃ、出てるよ。あの市原 穂奈美特集だもん。通常の3倍の部数で発行されてるし、コンビニだと早朝販売で並んでるよ。」
穂奈美さんの力の強さを実感する。
ほぼ全国の穂奈美さんファンが買う雑誌ではあるが、売れっ子でもないモデルなんかスルーで終わるだろうと高を括る。