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籠の中の天使
第22章 攻撃



私は憧れだけで間違った世界に翔び立ってしまったのではないかという不安がどうしても拭えない。

事態が急変したのは雑誌の発売から4日目の事だった。


『明日は学校を休んで部屋からは出ないで…。』


そんな連絡をマネージャーの岡田さんから受ける。

何が起きたのかわからない不安を抱える私を南斗が抱き締める。


「そんな顔はするな。」


南斗が額にキスをする。


「だって…。」

「大丈夫、モデルだけが全てじゃないだろ。咲都子は咲都子がやりたい未来を目指せばいい。」

「でも…怖いよ。」

「俺が居るから…。」


そう言って南斗は何度もキスをする。

翌朝、南斗は学校へ行き、コーヒーを飲むくらいしかやる事が無い私の携帯へ菊川さんからメッセージが来る。


『これ、本当なの?』


そう書かれたメッセージに添付された週刊誌の記事に全身の鳥肌が立つ。


『市原 穂奈美が起用した少女モデルは売春婦だった。』


そんな見出しで始まる記事…。

私があの街の出身で学校にも行かない手に負えない子だったと始まる記事では『お金を払えば気持ち良くしてあげる。』と未成年ながら毎夜のように男を誘っていたとまで書かれている。

更に、私が保健医である南斗と怪しげな関係を持った為に学校を自主退学したのだとか、その南斗と今は同棲中であり、高校教師を誑かす、いかがわしい女だとも記されている。


『インフルエンサーとまで言われるほど日本のファッション界に多大な影響力を持つ市原 穂奈美ともあろう人物が、何故こんな少女をモデルとして起用する事になったのか?彼女が監修したという雑誌では無垢で天使の様な笑顔を見せている少女だが、売春紛いを繰り返し、魔性の魅力で男を誘うその正体は悪魔的だと言えなくもない。』


その記事を何度も読み返す。

読めば読むほど頭が混乱する。


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