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籠の中の天使
第3章 学校嫌い
南斗から自分の将来をよく考えろと言われてる。
百貨店で働いてるっぽいお姉さん達を見てると百貨店で働くのは嫌かもしれないとか考えちゃう。
もう高校の2年だから…。
大学に行くにしても専門学校に行くにしても漠然と自分がやりたい職業を決めなきゃいけない。
頭ではわかってるのに心が決まらない。
あの街で女将になる…。
その考えならしっくり来るのに外の世界での職業は私には他人事のようにしか感じない。
電車が学校から一番近い駅に着き、綺麗なお姉さん達を横目に見て電車を降りる。
あんなに綺麗な人達なのに…。
私の心は憧れすら持たずときめかない。
私がなりたいものってなんだろう?
南斗に聞いても答えてくれない。
『それは咲都子が自分で探して決めるんだ。俺は咲都子が決めた道を進めるように支えてやるだけだから…。』
としか言わない。
私は何にもなれないかもしれない。
そんな不安が私を襲い、背中に冷たいものが流れ落ちる。
重くなる足を踏ん張るようにして歩き学校へ向かう。
まだ6時半…。
学校が開くのは7時からだけど教員専用の駐車場横にある小さな通用門だけは私の為に警備の人が開けてくれる。
「おはよう。今朝も早いね。」
丁度、学校警備の人がその通用門を開けに来てる。
「おは…よう…ございます。」
小さな声で答えるとお爺さんみたいな警備の人は
「元気ないね?朝ご飯はちゃんと食べてる?」
とか聞いて来る。
ご飯なんか無いもの…。
きっと普通の家の子なら今くらいの時間にお母さんに叩き起されて朝ご飯を食べてるのだろう。
普通の暮らしが存在しない私は苦笑いを警備の人に見せて学校の中へ入る。