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籠の中の天使
第23章 戦い
あの街は私を守ろうとしてるのだと初めて知る。
「週刊誌に咲都子の情報を流したのは塚本だと思う。」
南斗が辛そうに顔を歪める。
「なんで千紗先生がっ!?」
そこまでされる覚えはない。
「自分の受け持ちで退学者を2人も出した上に、一時的とはいえクラスが荒れたからな。だけど咲都子に責任を押し付けてしまえば教師として問題はなかったという評価を塚本は受ける事になる。」
南斗が歪めた表情は怒りだと感じる。
同じ学校教員として許せないと思う怒り…。
南斗は学生の話を聞いてあげられる教員になりたかった。
自分の身を守る事しか考えない教員だった千紗先生を決して許しはしないと思う。
「なんで、私には言ってくれなかったの?」
やっぱりノアと南斗を責めてしまう。
「あくまでも可能性があるというだけで、こうなるかは俺にも予測がつかなかったからな。何事も無ければ咲都子には余計な心配をさせない方が良いと判断しただけだ。但し、親父にだけは最悪の状況になった時は助けて欲しいと頼んであった。」
「社長さんに?」
「最悪の場合、咲都子と南斗さんをアメリカに連れて行く事まで親父は考えている。」
「アメリカに!?」
「それは最悪の場合の話な。でも今から親父は咲都子の為に会見を開く。まだ最悪の状況だとは言えない。あの人が日本のテレビの前に姿を晒すのは25年ぶりだから、マスコミはこの会見にかなり喰い付いてる。」
「そんなに凄い事なの?」
「ノア・グループの社長の名は伊達じゃないよ。」
自信満々なノアがニヤリと笑う。
お父さんを信じてる。
ノアが信じられるのなら私も信じようと思う。
テレビでは会見前の様子が映し出されている。