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籠の中の天使
第23章 戦い
あれだけの激しい圧力の中でお父さんはふと口角を上げて笑顔を見せる余裕を示す。
「記事には少女が売春を繰り返し行ったと報じられました。当社の認識ではそれは間違った報道であり、更に少女の人格を傷付け、人権を奪う許されざる報道だとの認識の上、記事の訂正と謝罪を要求する予定です。」
お父さんが言葉を発する度に会場が騒めく。
在り来りの説明では納得がいかないという空気が漂う。
それでもお父さんは戦いを止めない。
「こちらでの調査では、少女は過去に暴行を受けた事実を確認しております。加害者は少女と同じ未成年であり複数の少年達だった為に事は公にされる事はありませんでした。しかも加害者である少年達の言い分は『少女があの街に生まれたから、問題にはならないと思っていた。』というものだったと聞いています。先ほども申し上げた通り、少女はあの街に生まれたというだけで言われなき迫害を受ける日々だったのが事実です。」
もうフラッシュも完全に沈黙した。
会場内は静けさだけが漂い、お父さんの声だけが響き渡る。
「傷付いた少女は心を病み、自分の両親とも暮らせず、他人に保護を受ける事となりました。その保護者は彼女の主治医の弟であり、彼女が通った高校の保健医であります。」
南斗との関係もいかがわしいという言葉だけの関係ではないとお父さんが説明を続ける。
「当社との契約は彼女が未成年である限り、保護者の同意が必要となります。その保護者の名前は報道された高校教員の名が記されております。確かに学校教育という立場からすれば一部の生徒だけを教員が特別扱いをすれば問題にはなると思う。ですが傷を負った少女には彼の保護が必要であり、同じ街の出身である彼は彼女の心の傷を癒し、彼女が未来に向けて夢や希望を持つ事だけを願って少女の保護者として今も彼女の傍に居ます。」
お父さんの言葉を聞く南斗が手を強く握る。