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籠の中の天使
第23章 戦い
会見前はあの街を攻撃していた番組ですら
『軽々しく売春婦と報じる事と暴行の被害者であるという事実は余りにも掛け離れており、寧ろ被害者に対して、そんな間違った報道を行ったのであれば、週刊誌側は直ちに記事の訂正と謝罪を行うのは当たり前だ。』
と私を擁護する発言が増えている。
調子の良いコメンテーターは
『生まれだとか育ちなんて、なんだっていいんじゃないですか?彼女は明らかに可愛いモデルだと思うし、僕は彼女の今後の活動が楽しみだと思うだけですよ。』
と軽い口調で番組内の重い空気を変えようとする。
涙が止まらない私に南斗とノアが狼狽える。
「笑えよ。咲都子はモデルとして世界中から認められたんだよ。今は世界中から注目を浴びてんだから泣いてたらファンなんか居なくなるぞ。」
「咲都子の為に皆んなが協力してくれたのだから、泣いてばかりだと皆んなが心配するぞ。」
2人がかりで泣き止まそうとするけど私の涙は簡単には止まりそうにない。
「悪い、南斗さん、俺は帰るから後はよろしく。」
ノアが逃げるように背を向ける。
咄嗟にノアのシャツを掴む。
「家でDadの帰りを待ちたいんだ。この件が落ち着いたらDadはまたアメリカに帰るから…。」
ノアの言葉で親子の間には入れないと理解する。
「ありがとう…。」
泣き過ぎて掠れた声しか出ない。
「Dadに伝えとく…。」
強いノアは振り返る事なく部屋を出て行った。
「社長さん、はったりだけであの会見を乗り切ったな。」
南斗が苦笑いをする。
「はったり?」
「俺と咲都子がいかがわしい関係じゃないとか、明らかにはったりだぞ…。」
笑いながら南斗が私のスカートの中へと手を入れる。