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籠の中の天使
第23章 戦い
不意に北斗さんが真面目な表情になる。
「さて、父さんの代わりに持田家を代表して言わせて貰う。持田 南斗君。今の君の立場はあくまでも相原 咲都子さんの保護者だ。世間が、あの会見でそれを納得してくれたのだから、咲都子ちゃんと今まで通りに暮らしたいのなら、そこはちゃんと弁えて行動するように…。」
ニカッと笑った笑顔の中にお父さんの持田先生が見える。
「ゔっ…。」
お兄ちゃんやお父さんに勝てない南斗が情けない呻き声を出す。
「それと、咲都子ちゃんも…。ご両親がとても心配しいてる。もう社会に出る一人前の女性になったというのなら電話くらいはしてあげなさい。」
私へのお説教も忘れない。
「うん、もう少し…、落ち着いたら…、必ず連絡するよ。」
「そうだね。まだ色々と大変だとは思うけど街中が応援してる事を忘れないでね。」
クシャクシャと私の頭を撫でたお兄ちゃんが部屋から出て行くと南斗が私から一歩離れてよそよそしくなる。
「南斗っ!」
「いや、ほら、たこ焼き…、冷める前に食おうぜ。咲都子は昼飯も食ってないし…。」
「私とはいかがわしい関係だって自分で言わなかった?」
「やっぱ…、そこは、もう少し咲都子が大人になってからという事で納得してくれない?」
「意気地無しっ!」
今夜もきっと南斗は私が同じベッドに入るのを拒むと思う。
そして最後は私のお強請りに根負けして、なし崩なままでもちゃんと愛してくれる。
「南斗がキスしてくれないと浮気しちゃうからね…。」
「それは認めねえよ。」
慌てる南斗は私を抱きかかえてキスをする。
今、しばらくは2人で静かな時間を過ごしたいと願っていた。